十倉好紀卓越教授らの研究グループが超高密度な磁気渦を示すシンプルな二元合金物質を発見
東京カレッジの十倉好紀卓越教授が参加する研究グループは、超高密度な磁気渦を示すシンプルな二元合金物質を発見しました。次世代磁気メモリへの応用が期待されます。
東京大学大学院工学系研究科の高木里奈助教、関真一郎准教授らを中心とする研究グループは、理化学研究所、東京大学物性研究所、日本原子力研究開発機構、総合科学研究機構、東京大学大学院新領域創成科学研究科との共同研究のもと、単純な結晶構造を持つEuAl4(Eu:ユウロピウム、Al:アルミニウム)という物質に着目し、中性子・エックス線の散乱実験を行ったところ、直径3.5ナノメートルの超高密度な磁気スキルミオンを生成していることを発見しました。さらに、磁場や温度によって磁気スキルミオンの並び方が正方格子から菱形格子へと変化することを見出し、その起源が物質中を動き回る電子が媒介する相互作用に由来していることを明らかにしました。
本研究成果は、二種類の元素のみを含む単純な二元合金であっても、極小サイズの磁気スキルミオンの多彩な秩序構造を実現できることを示しており、今後の物質設計・探索や制御手法の開拓に重要な指針を与えることが期待されます。
本研究成果は、2022年3月30日(英国夏時間)に英国科学誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。詳細についてはプレスリリース記事をご覧ください。論文はこちら(オープンアクセス)からご覧ください。
図:(a) 一つの磁気スキルミオンの模式図。各矢印はユウロピウム(Eu)原子それぞれの磁気モーメントの向きを示している。(b) EuAl4の結晶構造。