東京カレッジ研究者 科研費(若手研究)に採択 - 東京カレッジ
研究関連

東京カレッジ研究者 科研費(若手研究)に採択

東京カレッジ准教授Michael FACIUS氏、ポストドクトラル・フェローRosita SAMSUDIN氏、特任研究員Hannah DAHLBERG-DODD氏が、日本学術振興会の2022年度科研費(若手研究)に採択されました。

Michael FACIUS准教授のプロジェクトは、“Rethinking the future of the humanities through emerging collaborative practices”(新興の共同実践を通して人文学の未来を考え直す)です。

現在進行中の人文学の危機と未来に関する議論が、価値と効用、資金と政治の問題に集中している。大学の学部内における個々の研究者の研究プロジェクトを中心とする学術的実践が、現代社会および未来社会にとって十分かどうかという問題に対する議論が足りていない。その一方で、新しい共同実践がすでに生まれつつある。人文学研究主導の学際的・分野横断的研究機関、大学以外の人文学研究機関、デジタル・ヒューマニティーズ、パブリック・ヒューマニティーズ、先住民の世界観と知識体系を活かした人文学、新しい教育形態、YouTube上の人文学研究などがその例である。このプロジェクトでは、以上に挙げたフォーラムにおける共同実践の事例を選び、複合的な分析(参与観察、インタビュー、メディア分析)を行い、それらの実践が知識生産にどのように影響するか、また従来型の人文学研究がどのように適応して新たな出発を遂げることができるかについて考察する。

ポストドクトラル・フェローRosita SAMSUDIN氏のプロジェクトは、“What kind of green space stimulates social capital formation in the context of high-density urban environments?”(高密度の都市環境において、どのような緑地がソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の形成を刺激するのか?)です。

ソーシャル・キャピタルは、人間の幸福に不可欠なものである。しかし、高密度な都市生活では、ソーシャル・キャピタルの衰退を招く恐れがある。都市の緑地は、ソーシャル・キャピタル形成の促進に役立つものの、都市部の緑地とソーシャル・キャピタルの関係に注目する研究は比較的少ない。ソーシャル・キャピタルが緑地の物理的属性と関連しているのか、それともデザインの特徴や緑地に対する認識など他の側面と関連しているのか、不明なことが多い。このプロジェクトでは、東京における都市緑地が近隣のソーシャル・キャピタルの形成に果たす役割を明らかにすることを目的としている。都市計画、都市生態学、社会科学の知見を融合し、高密度都市環境における都市緑地とソーシャル・キャピタルの関係を考察する先駆的な研究である。そこで得られる知見は、都市生活者のソーシャル・キャピタルを強化するための緑地計画に貢献すると考える。

特任研究員Hannah DAHLBERG-DODD氏のプロジェクトは、“Language, sociality, and Japanese popular media in the 21st century”(21世紀における言語・社交性・ポピュラーメディア)です。

ポップカルチャーのメディアコンテンツには、他では見られないような言語的特徴が利用され、言語的バリエーションが多く見られる。その結果、メディア化された言語現象の研究は、言語的に伝達される社会的意味のほか、ポピュラーメディアの消費と言語的創造性、言語的認識、メディア消費者のアイデンティティや社会的実践との関係の解明に幅広く寄与することができる。

本研究ではメディア上の言語利用に関する先行研究を元に、人々がメディアとどのように接しているのか、そのメディアが社会的相互作用における言語選択にどのような影響を及ぼすのか、そしてメディア上の言語が臨時的な「キャラ」の着脱行為にどのように利用されているか、という問いを追求する。テキスト分析、社会言語学的インタビュー、参与観察法を含む多面的なアプローチを活用し、架空の言語種が登場するメディアだけでなく、ポピュラーメディア形態におけるキャラクター言語のライフサイクルについても幅広く分析する。それらを通して、言語、メディア、消費者の間の相互関係についてより総合的な視点へと繋げることを目的とする。

「科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる『学術研究』(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする『競争的研究資金』であり、ピアレビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。」(日本学術振興会公式ウェブサイトから引用)


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