良心と複雑性(講演者:Alexander R. GALLOWAY教授) - 東京カレッジ

良心と複雑性(講演者:Alexander R. GALLOWAY教授)

日時:
2024.05.07 @ 10:00 – 11:00
2024-05-07T10:00:00+09:00
2024-05-07T11:00:00+09:00
良心と複雑性(講演者:Alexander R. GALLOWAY教授)
終了しました
Zoomミーティング
開催日時 2024年5月7日(火)10:00-11:00
会場

Zoomミーティング(登録はこちら

申込方法 事前申込制
言語 英語
要旨

二つあるのだろうか?それとも、本当にひとつしかないのだろうか?複雑性は、単一の共通項に還元できない複数の要素間の関連性を記述する。それゆえ複雑性は、一貫性のない一(者)、二(あるいは三)のものの持続性を表現する。本講演では、複雑性を記述する様々な現代的試みを検証し、さらに論理的に証明することを試みる。哲学の分野では、G.W.ライプニッツやジル・ドゥルーズといった人物が、自然の複雑性に関する最も美しい(そしてバロック的な)記述のいくつかを執筆した。数学と論理学の分野では、ゲオルク・カントール、クルト・ゲーデル、アラン・チューリングといった人物が、それぞれ合理性の非整合的な二つの領域の境界を厳密に証明し、合理性そのものが本質的に複雑であることを示した。精神分析では、ジークムント・フロイト(複雑な思想家、複雑性の思想家)が長いこと、精神は化学的・生物学的プロセスを超えて、自律的領域に存在すると主張していた。また、フロイトの最も重要な解釈者であるジャック・ラカンも同様に、彼が象徴的秩序と呼ぶものと現実との区別を主張していた。このように考えると、複雑性の議論は形而上学における古典的な問いに立ち戻ることになる。本講演では、現代の言説において形而上学が消滅したわけではなく、形而上学的思考の持続は、現代の理論が複雑性を好むことを示していると結論づける。

プログラム

講演者

Alexander R. GALLOWAY(NYU 教授)

 

モデレーター

Evan DONAHUE(東京カレッジ ポストドクトラル・フェロー)

講師プロフィール

Alexander R. GALLOWAY教授は 哲学、テクノロジー、媒介理論の問題に取り組む作家やコンピュータ・プログラマーである。ニューヨーク大学でメディア・文化・コミュニケーションを教えていて、”Uncomputable” (Verso, 2021) 、”The Interface Effect” (Polity, 2012)など、デジタルメディアと批評理論に関する著書を多く持つ。

主催 東京大学国際高等研究所東京カレッジ
お問い合わせ tokyo.college.event@tc.u-tokyo.ac.jp

Upcoming Events

開催予定のイベント

今日は「ディスインフォメーション」の時代か、それとも「戦略的コミュニケーション」の時代か?(講演者:Neville BOLT氏)

イベント予定講演会/Lecture

2024年7月22日(月)14:30-16:00

「ディスインフォメーション」と「戦略的コミュニケーション」は、関連しつつも異なる概念である。にもかかわらず、しばしば同じ意味だと誤解されている。ネビル・ボルト氏は、21世紀初頭より世界中の政府の注目を集め、盛んに論じられてきた「ディスインフォメーション」と「戦略的コミュニケーション」という2つの重要な概念について論じる。

Previous Events

公開済みイベント

平和、安全保障と人工知能

イベント予定講演会/Lecture

2024年7月12日(金) 14:00-15:00

本講演では、広範なセキュリティ領域にわたってAIシステムがもたらす固有のリスクについて掘り下げ、最後に、これらの技術に関連するリスクを防止・軽減するためのガバナンス・モデルの提案について、いくつかの知見を紹介する。その中には、拘束力のある規範、基準、ガイドラインを精緻化する必要性や、これらの規制を実施し、説明責任、被害に対する救済措置、緊急対応を通じてコンプライアンスを確保する適切なメカニズムを備えた一元化された当局を通じた監視、モニタリング、検証、検証機能の必要性が含まれる。

出版記念会:「キーウの遠い空-戦争の中のウクライナ人」(講師:Olga KHOMENKO氏)

イベント予定講演会/Lecture

2024年6月28日(金)15:30-16:30

2023年7月25日、中央公論新社からホメンコ氏の著書『キーウの遠い空─戦争の中のウクライナ人 』が出版された。ウクライナ戦争を独自の視点でとらえた一冊である。
この本は、ホメンコ氏がウクライナで体験した戦争や、家族、友人、元教え子から聞いた話に基づいて執筆された。ホメンコ氏は2022年の初めに日本のメディアの取材で、ウクライナの歴史や文化に関するインタビューを受けたが、その際の質問が、ウクライナの歴史に関する知識をあまりにも欠いていたため、インタビューに応じる代わりにウクライナ人の声を届けるために日本語で本を執筆することにした。

ハッキングの文化史(講師:Federico MAZZINI教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年6月24日(月)15:00-15:45

本講演では、1960年代の米国の大学で誕生したと言われているハッカー文化を、より長い歴史的文脈に位置付け考察する。歴史は19世紀末のSF小説から始まり、1910年代のハムラジオ、1970年代の「電話ハック」、そして20世紀末のコンピューター・ハッカーへと続く。本講演では、ハッカーや初期のハッカーたちが自分たちについて何を書き残し、また彼らが活字メディアにどのように受け止められていたかを議論する

グローバリゼーションの未来: 歴史の視点から(講演者:Bill EMMOTT氏)

イベント予定講演会/Lecture

2024年6月4日(火)16:00-17:30

グローバリゼーション―貿易、金融、思想を通じた国々のつながり―は後退しているように見える。各国政府は地政学的な緊張により、経済的保障を優先させ「リスク回避」に努めている。しかし、グローバリゼーションの後退が言われるのは、これが初めてではない。歴史を振り返ることで、どのような要因が今後のグローバリゼーションの行方を真に左右するのか理解することができるだろう。

日本における同族経営医療法人(講演者:Roger GOODMAN教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年5月30日(木)14:00-15:30

日本では、病院の約80%とクリニックの約90%が私立であり、これらのうち約75%が同族経営である。本講演では、日本の医療制度の運営全体の文脈における同族経営医療法人の発展と意義を説明し、先行研究でまだ明らかにされていない部分に注目する。

21世紀の中央銀行(講演者:Luiz Awazu PEREIRA DA SILVA教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年5月29日 (水)15:00-16:30 JST

21世紀の中央銀行は、5つの岐路に直面している(1. インフレとその不透明性の再現、2. 気候変動、3. 不平等、4. デジタル金融イノベーション、5. 人工知能)。これまで、中央銀行は課題に直面した際、分析的思考を強化し、適切にリスクを均衡させ、最善の道を選択してきた。現在、中央銀行が直面する新たな課題は、中央銀行がそれらの挑戦的な影響を慎重に特定し、分析する必要があることを示唆している。


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