女性であること、日本人であること―日本におけるオーストラリア先住民研究の展望と課題 - 東京カレッジ

女性であること、日本人であること―日本におけるオーストラリア先住民研究の展望と課題

日時:
2021.10.18 @ 14:00 – 15:30
2021-10-18T14:00:00+09:00
2021-10-18T15:30:00+09:00
女性であること、日本人であること―日本におけるオーストラリア先住民研究の展望と課題
終了しました
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開催日時 2021年10月18日(月)14:00-15:30
会場

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申込方法 事前申込制
言語 日本語(英語通訳有)
要旨

オーストラリア先住民研究において、女性、そして日本人という立場はいかなる新たな知見を生み出してきたのだろうか。オーストラリア先住民研究において、日本人女性研究者による本格的な調査がはじまったのは1980年代以降である。本イベントではその軌跡の一端として、3人の日本人女性研究者がそれぞれのフィールドでの経験を語り、自らの属性が調査や分析に与えた影響について話し合う。これにより、従来の欧米人類学やオーストラリア人類学とは異なる視線を持つことの可能性を模索し、日本のオーストラリア先住民研究の今後の展望と課題を示すことを目指したい。

プログラム

登壇者

平野智佳子(国立民族学博物館・助教)

木村彩音(神戸大学・博士後期課程)

山内由理子(東京外国語大学・准教授)

 

コメンテーター

Martin NAKATA AM (Professor, James Cook University)

 

司会

赤藤詩織(東京大学・特任助教)

講師プロフィール

平野智佳子

文化人類学を専門として、オーストラリアの中央砂漠を中心としたフィールドワークに基づく研究に取り組む。主な研究内容は、アボリジニの飲酒。著作として「分配行為にみるアナングのやり方:オーストラリア中央砂漠アボリジニのキャンバス販売と酒の購入資金の獲得の分析から」(2021年、『文化人類学』86巻2号)。

 

木村彩音

神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程在籍。博士前期課程では、オーストラリア・アボリジニ研究に従事する。博士後期課程進学後、長期現地調査を経て、もう一つのオーストラリア先住民、トレス海峡諸島民に研究関心が移る。現在は日本人移民の出自を持つトレス海峡諸島民の先住民としての実践を主題として研究活動をおこなっている。

 

山内由理子

シドニーに郊外に住むオーストラリア先住民やオーストラリア北西部の先住民と日本人のミックスの人々について研究を重ねてきた。ディシプリンは文化人類学。主な著書・論文として、山内由理子編(2014)『オーストラリア先住民と日本―先住民学・交流・表象』御茶の水書房、Yuriko Yamanouchi (2018) Japanese ancestors, non-Japanese family, and community: Ethnic Identification of Japanese descendants in Broome, Western Australia, Coolabah 24&25: 142-158など。

 

Martin NAKATA AM

ジェームズ・クック大学で先住民教育・戦略担当の副学長を務める。トレス海峡諸島民であり、教育学の博士号を持ち、オーストラリアの先住民学界をリードする学者の一人として国際的に認められている。約 40年に及ぶ先住民族の学生の高等教育分野での成果向上に関する研究活動を、国内外の学術雑誌、アンソロジー、書籍に発表し幅広く活躍している。現在、学校における先住民の STEM 教育の改善についての ARC プロジェクトを進めている。

 

赤藤詩織

オーストラリア国立大学で人類学博士号を取得し、現在は東京大学東京カレッジ特任助教。専門は日本社会とジェンダーの人類学。

主催 共催:The Australia, New Zealand and Oceania Researchers in Japan Network (ANZOR Japan) / 東京大学国際高等研究所東京カレッジ
お問い合わせ tokyo.college.event@tc.u-tokyo.ac.jp

Upcoming Events

開催予定のイベント

性暴力はなぜ繰り返されるのか:背後の社会規範を問う(講演者:大沢 真知子教授)

イベント予定共催/Joint Event講演会/Lecture

2025年1月21日(火)14:00-15:30

声を上げる被害者によって性被害の実態が明らかになりつつある。にもかかわらず性加害が繰り返されるのはなぜなのか。本講演では、2022年にNHKが実施した性暴力実態調査アンケートによって回収された38383件の被害者のデータを元に性被害者の実態を明らかにするとともに、日本社会には強姦神話が存在し、それによって被害者が責められるさらに苦しむという構造がある。背後には男女不平等社会をもたらす社会の男性規範があり、性加害をなくすためには、社会規範を問い直す必要がある。

不滅の知性とDNAに依存しない人類の台頭(講演者:Johan BJÖRKEGREN教授)

イベント予定講演会/Lecture

2025年1月29日(水)15:00-16:30

約6万年前、人類がアフリカからの移住に成功した頃、ある変革が起こった。ホモ・サピエンスは、自然資源を巡る競争能力を根本的に変える重大なDNA変化を経験したと考えられる。この変化にとって重要だったのは、抽象的思考の獲得であった。そして今日、AIの発展により、ダーウィンの「適者生存」の原則から最終的に脱却する段階に差し掛かっている。我々はDNAへの依存から完全に解放されることで、さらには死すらも克服する方向へ急速に進化しつつある。

日常の「外交官」: 分断された世界で混沌をつながりに変える(講演者:Annelise RILES教授)

イベント予定講演会/Lecture

2025年2月13日(木)10:00-11:30

Annelise RILESは、新著『Everyday Ambassadors』で、私たちは今、リーダーシップが少数の手にあるのではなく、すべての人の手にあるエキサイティングな新世界秩序の瀬戸際にいると主張する。世界に今必要なのは、政治的、文化的違い、科学と宗教、芸術とテクノロジーの世界の間の橋渡し役であり、翻訳者、通訳者など、より多くの外交官であると提唱している。本講演では、RILES教授が、数十年にわたる法律と民族誌の研究をまとめ、誰もがどこにいても優れた外交官になるための 7 つの「行動」をまとめた著書について語る。

Previous Events

公開済みイベント

ブリュッセル効果への対応:日本企業はEU-AI法にどう備えるべきか

イベント予定講演会/Lecture

2024年12月11日(水)12:00-13:00

本ウェビナーでは、EU-AI法の概要と行動規範の策定における4つのワーキンググループ活動、さらに日本企業が特に留意すべき重要なポイントについて概説します。
EUの規制動向がもたらす「ブリュッセル効果」や日本への影響について理解を深める機会としてAI関連技術の開発・提供・流通に関わる企業、研究機関、開発コミュニティの参加者のご参加をお待ちしております。

発展途上国の環境問題:課税の役割とは?(講演者:Michael KEEN潮田フェロー)

イベント予定講演会/Lecture

2024年12月11日(水)10:30-12:00

多くの低所得国は深刻な環境問題に直面している。よって、社会のニーズと経済発展に資金を提供するための税収が喫緊の課題となっている。環境税は、その両方の目的を満たせるのか。この講義では、最近出版された書籍を参考にしながら、低所得国が直面する多くの環境問題のうち最も差し迫った問題(大気・土壌の質、廃棄物管理、森林破壊、渋滞、気候変動への適応など)を評価し、税制の改善がそれらの問題への対処と多額の税収の引き上げにおいて、どの程度役立つかについて検討する。

見えざるジェンダーから見えるジェンダーへ(講演者:岡田 トリシャ教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年12月6日(金)15:00-16:30

本講演では、1980年代から2000年代初頭までの日本におけるフィリピン人トランス女性またはトランスピネイの移住経緯(移住前・中・後)に関するエスノグラフィ研究を取り上げる。交差的不可視性(Purdie-Vaughns & Eibach, 2008)の枠組みから、フィリピン人トランス女性の移住体験を、トランスジェンダー移住者が現在直面している問題の事例と関連づける。また、ソーシャルメディアや映画が、いかにしてジェンダーの(不)可視性を示し、交渉する場を作り出しているのかについても探求する。

個人主義の国・日本(講演者:John LIE教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年11月26日(火)13:00-14:30

欧米諸国の「個人主義」に対して、日本社会は「集団主義」あるいは「集団志向」であると言われている。しかし、この説は間違いである。本講演では、通説に反論した後、この誤った考え方の系譜をたどり、その妥当性について論じる。

競合からパートナーへ:銀行によるフィンテックへのベンチャー投資(講演者:Manju PURI教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年11月12日(火)10:30-12:00

銀行がフィンテックとの競争を乗り切るための戦略的アプローチとして、フィンテックの新興企業へのベンチャー投資を活用しているという仮説のもとに、その根拠について検討を行う。これまで、銀行のベンチャー投資がフィンテック企業により重点を置いていることが明らかにされている。その結果、フィンテックとの競合が激化している銀行においては、フィンテックの新興企業にベンチャー投資をする可能性が高いことが示唆される。さらに、銀行は、自社の事業と資産の補完性が高いフィンテック企業をターゲットにしていることが証された。よって、操作変数分析により、ベンチャー投資が投資銀行とフィンテックの投資先との間で業務上の協力や知識移転が行われる可能性が高まることが理解できる。


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