アジアと世界の男性像:社会言語学からみた変遷(講演者:平本美恵准教授) - 東京カレッジ

アジアと世界の男性像:社会言語学からみた変遷(講演者:平本美恵准教授)

日時:
2023.03.01 @ 15:00 – 16:00
2023-03-01T15:00:00+09:00
2023-03-01T16:00:00+09:00
アジアと世界の男性像:社会言語学からみた変遷(講演者:平本美恵准教授)

終了しました
Zoomウェビナー
開催日時 2023年3月1日(水)15:00-16:00
会場

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申込方法 事前申込制
言語 英語(日本語同時通訳有)
要旨

シリーズ「言語とアイデンティティ」
ワークショップII:メディアにおける言語-表象と消費-
基調講演

 

概要
本発表では、社会言語学の視点からみて、アジアとそれ以外の地域における男性像の変遷を探究します。社会文化的なステレオタイプと男性性イデオロギーとの関係、また、ジャンル、スタイル、メディアがこれらの概念に対する私たちの理解をどのように形成しているのかに焦点を当てます。Aghaの著作を中心に、メディア化(mediatization)とレジスター化(enregisterment)の理論的概念、および人物像(figures of personhood)の概念を用いて、3つのケーススタディを分析します。

 

最初のケーススタディでは、ジェームズ・ボンド映画に描写される男性像の変化に関する世界的な傾向を考察します。2つ目は、ハリウッドの忍者映画におけるアジアの男性像の扱いについてです。最後に、3つ目の事例として、シンガポールの「fitspo」インスタグラマーの言葉遣いやイメージでうかがわれる、アジアの男性像をめぐるイデオロギーの変化について考察します。これらの事例研究を通して、言語とメディアがどのように私たちの男性像の認識に影響を与えるのか、また、これらの表現が社会的規範に抵抗したり強化したりするためにどのように使われるのかについて明らかにすることを目指します。

 

この3つのケーススタディを分析することによって、言語とメディアを通じて男性像が構築され、普及する方法を明らかにするために、メディア化・レジスター化・人物像の理論がどのように使用されるかを示します。さらに、現代の男性像のメディア表象が、社会的規範やジェンダー秩序に挑戦したり強化したりするために、どのように利用されうるかについても言及します。本発表は、社会言語学、ジェンダー研究、メディア研究、アジア研究の分野の学者や研究者だけでなく、グローバル化が進んだ今の世界における男性像の認識の変遷を理解することに関心のある人にもとっても興味深いものであるでしょう。

講師プロフィール

平本美恵

シンガポール国立大学英語英米文学科准教授。研究対象は社会言語学・言語人類学で、特に言語・ジェンダー・セクシュアリティー(「mediation」と「medialisation」、アジアの男性性など)、接触言語学(日本以外で話される日本語、シンガポールの口語英語など)。平本先生はこれらのテーマで広く執筆されており、最近は『Language in Society』 (2019)、『Language and Communication』 (2020)、『World Englishes』 (2021)、『International Journal of the Sociology of the Language』 (2022)などでいくつかの論文が掲載されています。現在、『Oxford Handbook of the Japanese Language』の編集者の一人として働きながら、さまざまなハンドブックの章を準備しています。また、『Gender and Language』の共同編集長、『Journal of Language and Sexuality』の副編集長、『Linguistics Vanguard』のエリアエディター(社会言語学・言語人類学)を務めています。NUS FASS Gender and Sexuality Research Clusterの主任研究員でもあります。

主催 東京大学国際高等研究所東京カレッジ
お問い合わせ tokyo.college.event@gmail.com

Upcoming Events

開催予定のイベント

性暴力はなぜ繰り返されるのか:背後の社会規範を問う(講演者:大沢 真知子教授)

イベント予定共催/Joint Event講演会/Lecture

2025年1月21日(火)14:00-15:30

声を上げる被害者によって性被害の実態が明らかになりつつある。にもかかわらず性加害が繰り返されるのはなぜなのか。本講演では、2022年にNHKが実施した性暴力実態調査アンケートによって回収された38383件の被害者のデータを元に性被害者の実態を明らかにするとともに、日本社会には強姦神話が存在し、それによって被害者が責められるさらに苦しむという構造がある。背後には男女不平等社会をもたらす社会の男性規範があり、性加害をなくすためには、社会規範を問い直す必要がある。

不滅の知性とDNAに依存しない人類の台頭(講演者:Johan BJÖRKEGREN教授)

イベント予定講演会/Lecture

2025年1月29日(水)15:00-16:30

約6万年前、人類がアフリカからの移住に成功した頃、ある変革が起こった。ホモ・サピエンスは、自然資源を巡る競争能力を根本的に変える重大なDNA変化を経験したと考えられる。この変化にとって重要だったのは、抽象的思考の獲得であった。そして今日、AIの発展により、ダーウィンの「適者生存」の原則から最終的に脱却する段階に差し掛かっている。我々はDNAへの依存から完全に解放されることで、さらには死すらも克服する方向へ急速に進化しつつある。

日常の「外交官」: 分断された世界で混沌をつながりに変える(講演者:Annelise RILES教授)

イベント予定講演会/Lecture

2025年2月13日(木)10:00-11:30

Annelise RILESは、新著『Everyday Ambassadors』で、私たちは今、リーダーシップが少数の手にあるのではなく、すべての人の手にあるエキサイティングな新世界秩序の瀬戸際にいると主張する。世界に今必要なのは、政治的、文化的違い、科学と宗教、芸術とテクノロジーの世界の間の橋渡し役であり、翻訳者、通訳者など、より多くの外交官であると提唱している。本講演では、RILES教授が、数十年にわたる法律と民族誌の研究をまとめ、誰もがどこにいても優れた外交官になるための 7 つの「行動」をまとめた著書について語る。

Previous Events

公開済みイベント

ブリュッセル効果への対応:日本企業はEU-AI法にどう備えるべきか

イベント予定講演会/Lecture

2024年12月11日(水)12:00-13:00

本ウェビナーでは、EU-AI法の概要と行動規範の策定における4つのワーキンググループ活動、さらに日本企業が特に留意すべき重要なポイントについて概説します。
EUの規制動向がもたらす「ブリュッセル効果」や日本への影響について理解を深める機会としてAI関連技術の開発・提供・流通に関わる企業、研究機関、開発コミュニティの参加者のご参加をお待ちしております。

発展途上国の環境問題:課税の役割とは?(講演者:Michael KEEN潮田フェロー)

イベント予定講演会/Lecture

2024年12月11日(水)10:30-12:00

多くの低所得国は深刻な環境問題に直面している。よって、社会のニーズと経済発展に資金を提供するための税収が喫緊の課題となっている。環境税は、その両方の目的を満たせるのか。この講義では、最近出版された書籍を参考にしながら、低所得国が直面する多くの環境問題のうち最も差し迫った問題(大気・土壌の質、廃棄物管理、森林破壊、渋滞、気候変動への適応など)を評価し、税制の改善がそれらの問題への対処と多額の税収の引き上げにおいて、どの程度役立つかについて検討する。

見えざるジェンダーから見えるジェンダーへ(講演者:岡田 トリシャ教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年12月6日(金)15:00-16:30

本講演では、1980年代から2000年代初頭までの日本におけるフィリピン人トランス女性またはトランスピネイの移住経緯(移住前・中・後)に関するエスノグラフィ研究を取り上げる。交差的不可視性(Purdie-Vaughns & Eibach, 2008)の枠組みから、フィリピン人トランス女性の移住体験を、トランスジェンダー移住者が現在直面している問題の事例と関連づける。また、ソーシャルメディアや映画が、いかにしてジェンダーの(不)可視性を示し、交渉する場を作り出しているのかについても探求する。

個人主義の国・日本(講演者:John LIE教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年11月26日(火)13:00-14:30

欧米諸国の「個人主義」に対して、日本社会は「集団主義」あるいは「集団志向」であると言われている。しかし、この説は間違いである。本講演では、通説に反論した後、この誤った考え方の系譜をたどり、その妥当性について論じる。


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