TOKYO COLLEGE Booklet Series 1
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27 パンデミックにおいて大事なことは、感染拡大を防ぐこと、重症化を防ぐこと、集中治療の患者を救命することになると思います。各国の状況を見ても、ドイツなどは集中治療の体制を強化した結果、ヨーロッパの中でも非常に少ない死者数になっています。そういう面では、日本の集中治療の「箱」は非常に少ない状況です。かつ、マンパワーも決して豊富ではなく、コロナ患者の場合には多くのマンパワーが必要ですので、そのマンパワーをどこから連れてくるかというと、通常診療の規模縮小によるしかありません。例えば、手術件数を減らすと手術室の看護師の手が空きますし、麻酔科医の手も外科医の手も空きます。そうした努力をすることでコロナ重症患者に当たるスタッフを増やすことはできますが、そうはいっても、医療機関にとっては経営を圧迫することであり、たやすいことではありません。 実際、東京都ではどんな状況だったかというと、人工呼吸器管理症例の数と受け入れ可能なベッド数の差が3~4月にかなり縮まりました。なおかつ、人工呼吸をしていない重症患者も入れると、受け入れ可能なベッド数との差がほとんどなく、この間ずっと逼迫していたことが分かります。実際、東京都から神奈川県などに重症患者が運び出されています。後で分かってきたのですが、実際3~4月の時点で、各医療機関が東京都に届けて、これだけの空床を用意すると言っていた数字と、実際に受け入れ可能だったベッド数には大きな乖離があったことが分かりました。 ICUの空床を確保するためには、予定手術を止めたり、入院を延期したりする必要があり、重大な経済的損失を伴います。ですから、ぜひとも強力な財政支援をセットにした空床確保の要請を行う必要があるのです。ただ、感染が拡大していない時期には通常診療を一生懸命行って、感染拡大のステージに合わせて早め早めに受け皿を確保しないと、患者がピークの

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