TOKYO COLLEGE Booklet Series 1
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6 はじめに 新型コロナウイルス感染症 COVID-19は、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV2)という病原性の高いコロナウイルスによる感染症で、世界中に大流行しパンデミックを引き起こしました。COVID-19は、人々の健康の問題にとどまらず、経済、政治などの多くの面に大きな影響を与えています。 COVID-19は重症肺炎を起こす感染症であり、その対策の最前線に立っているのは医療従事者です。このため、連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」の最初に「医学・疫学」を設置して頂いたと考えています。この企画では、感染症の専門家としてこの問題に日夜対応されている日本感染症学会理事長の舘田一博先生と、重症患者の対応に取り組んでおられる日本集中治療医学会理事長の西田修先生をお招きし、医学・医療の面からCOVID-19対策の現状と問題点、および今後の展望についてお話を伺いました。 シンポジウムの開催から 2.5カ月後にこの序文を書かせて頂いていますが、その間にもシンポジウムで予想したように第2波が日本を襲い、海外でもパンデミックは収まる気配がありません。薬剤やワクチンの開発についても様々な情報が流布していますが、WHO は8月31日には「新型コロナウイルスワクチンの緊急承認には“相当な重篤度や熟慮”が求められる」として各国に慎重な対応を促し、9月5日には「ワクチン接種は 2021年中ごろまでは不可能である」という見通しを出した、と報道されています。また、SARS-CoV2に対する抗体ができた場合も、その抗体が体内でどれくらい持続するかは不明であり、それによって今後の再流行のパターンが大幅に変わることが指摘されています(Megan Scudellari.

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