TOKYO COLLEGE Booklet Series 2
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19 代替だけではなく、バーチャルでなければできないことはきっとたくさんあると思います。バーチャルならではの使い方を真剣に考えることが、これからの課題です。さらに、バーチャルの登場に伴い、リアルの重みや価値がいっそう再評価されるようになると思います。実際に会いたい人、会いたいモノ、行きたい場所の重要性・価値が再認識される社会が来ると思っています。 通信もインフラですから、ハードウェアの増強で対応できるところがあると思います。加えて、ソフトウエアのアップデート、つまり人の価値観の変容も求められる点が、今回のパンデミックと過去の感染症流行とで大きく異なる重要な論点だと思います。 世界経済フォーラムが発表している「The Global Risk Landscape」では、世界で想定される様々なリスクについて、発生見込みを横軸、影響度合いを縦軸にしてマップ化しています。今回のコロナ禍は、「感染症の蔓延」に含まれますが、さほど甚大なリスクには位置付けられていません。発生見込みがもっと高く、影響度合いがもっと大きいと思われるリスク、例えば気候変動に起因するリスクが想定されていることを踏まえれば、今回のコロナ禍、つまり「感染症の蔓延」だけを念頭に都市や社会のあり方を考えても、片手落ちかもしれません。より大きなリスクにも対応できるような都市や社会を考えていくことこそ、今回の新型コロナウイルス感染症の世界的流行から学ぶべき教訓であると考えます。

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