21 1. ヨヨーーロロッッパパ中中世世のの発発展展とと収収縮縮 歴史上の伝染病を見てみると、いずれも都市の発展や人口密度の上昇、人間の移動によって感染が広がったものが非常に多いわけです。ですから、伝染病の問題と都市の問題は非常に密接な関係があるといえます。本日はこの中でも、14世紀のヨーロッパ諸都市の繁栄とペストの流行から、事例を交えて考えていきたいと思います。 その前段階として、特に10~13世紀は地球規模で温暖だった時代だといわれています。今では地球温暖化というと悪いことのように語られることが多いですが、当時のヨーロッパでは、夏の日差しが温暖で農産物は豊かに茂り、冬に寒さで人が亡くなることが少ないという、非常に良い時代だったようです。この時代にヨーロッパでは人口が増加し、農産物が増え、森を開拓して畑が増えたことによってさらに作物が増加し、子どもを安心して育てられるのでさらに人口が増えるという好循環が生まれました。人口増加によって、村は町へ、町は都市へ、都市は大都市へと発展を遂げました。 ヨーロッパで巨大なゴシック大聖堂が建設されたのは、まさに12~13世紀のことです。人口が増えて経済的にも安定していたからこそ、巨大な建物を造ることができたと同時に、人口増加に対応して多くの人が一堂に会することができる巨大教会堂が必要になったのです。つまり、12~13世紀は非常に安定的な発展の時代であり、巨大建造物の建設ラッシュの時代であったといえます。 当時のヨーロッパは、鉄の生産量が増大したことが知られています。18~19世紀の産業革命ほどではないのですが、鉄の生産量増大が農機具の改良をもたらし、畑の開拓を容易にし、農業生産物を増加させたと同時に、大工道具の改良によって巨大な大聖堂建設を技術的に可能になりました。
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