TOKYO COLLEGE Booklet Series 2
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26 しかし現在、世界中の国々の中心化、つまり近代化が完了しつつある状況になり、ギャップがほとんどなくなってきました。つまり、16世紀以来500年にわたって世界を潤してきた経済発展のシステムがついに終わろうとしているという気がしています。当初、先進国といわれて「中心」で富をもたらしていた欧米や日本といった国々が、かつてのように富を見いだせなくなったことに非常に苦しんで、自国第一主義のような形に走っていることも、近代世界システムがそろそろ限界に達しつつあることを示しているのはないかと思います。 私たちは、近代世界システムの500年を超えて、次の500年のフェーズを考える時代に入っているのではないでしょうか。つまり、14世紀に気候変動や伝染病、社会変動のようなことが起こった後、500年続く近代世界システムの時代が訪れたのですが、私たちは近代世界システムの終わりにそろそろ直面していると同時に、気候変動や伝染病にも再び直面しています。私たちが考えるべきことは、短期的視野からコロナ危機を巡る新しい日常を考えるばかりではなく、もっと長い視野で、つまり次の500年のための新しい日常を考えていくことも大切なのではないかと考えています。

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