TOKYO COLLEGE Booklet Series 2
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29 他方、コロナ禍以前から生じていた現象ですが、国際社会の分断がいろいろな形で進んでいます。米中間の大国覇権競争もありますし、その背景としてアメリカのトランプ政権誕生による自国優先主義の蔓延もあります。独裁的な国では、香港やウィグルの問題が典型的ですが、より権力を行使するような現象が見られます。 なぜこうしたことが生じているかというと、コロナ禍でパブリックなスペースが非常に縮小し、国際的な交流もなくなって、外から見られることがなくなってきているからではないでしょうか。外から見られることで、ある種の社会システムの健全性が保たれていたと思うのですが、デジタルでは見せたいところを見せて、見せたくないところは見せなくても済む面があると思います。これまで見られることから自制せざるを得なかった諸々が、このコロナ禍において悪い意味での影響を持ち得るかもしれません。同様の現象は、もしかすると家庭や社会においてもあり得るかもしれません。 2. ココロロナナ禍禍ででのの経経済済活活動動とと資資本本主主義義 小熊先生からもあったように、パブリックな空間において新型コロナウィルス感染症対策を行うには、現在のところ個々で対応するより他にありません。ですから、ソーシャルディスタンスを取ったり、在宅勤務をしたり、どちらかというと個で対策する方向へ進んでいます。パブリックで集まるよりも、パブリックを避ける方向に社会が進んでしまっています。結局、解決策はワクチンの開発・普及以外にないとおっしゃる方もいます。 在宅勤務は、コロナ対策としての労働の観点からは重要な対策になりますが、エッセンシャルワーカーの様に在宅勤務が不可能な人もいます。在

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