TOKYO COLLEGE Booklet Series 2
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33 横横張張 大橋先生、小熊先生がご指摘のように、ICTに代表されるデジタル技術の重要性や可能性は、コロナ禍が起こる以前から議論されてきたことではありましたが、コロナ禍を通じ、それが広く社会的にもはっきりと認識されるようになりました。これに伴い、まちのありようが大きく変わろうとしています。例えば、子育てや介護をしながら仕事を続けられたり、心身ともに健常である人たちを前提とした画一的な就労のあり方から、もっと多様な就労の在り方につながるチャンスにもつながったりと、様々な変化が起き始めています。こういうプラスがあることは論を待たないわけです。10年前にコロナ禍が広がっていたら、私たちはこのようにオンラインでディスカッションすることなどできなかったでしょう。 しかし一方で、先生方がご指摘のように、デジタル技術の使い方を注意しなければならない面も多分にあるのではないでしょうか。大橋先生はパブリックが縮小してしまう危険性を指摘されました。小熊先生はデジタルとの接続を断つ権利をどう保障するのかも同時に考えなければならないと指摘されました。まずこの点に関して、ご意見を頂戴したいと思います。 小小熊熊 全てがオンラインになることに何となく不安や抵抗を感じるのは、程度の差こそあれ、皆さん共通ではないかと思います。何が嫌なのだろうかと考えると、何となく自分の意思でつながったり切れたりできないシステムをイメージしてしまい、常に監視されている、常に個人情報が侵害されているという漠然とした不安感なのではないかと思うのです。 ですから、オンラインを前提とする社会システムを作る側が、個人の自由度を残した形で通信のアクセシビリティを与えることが求められます。「アクセスできること」と「アクセスすること」は違うべきで、アクセス

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