TOKYO COLLEGE Booklet Series 2
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35 っても普及してしまう面があるのではないでしょうか。われわれもモバイルを手放す権利はあるのに、その権利を行使できないような状況になっていますし、オンラインもそういうケースにならないとも限らないという感じがしています。その点ではオンラインのメリット・デメリットはあるものの、もう少しICTの使い勝手が良くなっていけば、われわれの生活に手放せないものになっても、生活の質を落とさなくて済むという気もしますが、どうでしょうか。 横横張張 私も、休日でも仕事が追いかけてくるデメリットを感じつつも、休日にZoom会議を設定したり、日曜の深夜にメールを送ったりしているので、大橋先生のご指摘は否定できません。ただ、パブリックドメインの縮小については、ICTが今後さらに一般に普及した際に大きな問題にならないか、非常に気がかりです。 パブリックドメインは、自分が必要としていないものや嫌なもの、会いたくない人なども含んでいます。実はそういうところにイノベーションの鍵があったり、自分自身が脱皮していくヒントがあったということが、後になってわかることがあります。しかし、パブリックドメインが小さくなることで、そうした機会がどんどん減っていってしまいます。見たいものしか見えない、触れたくないものは触れないで済んでしまうのがデジタル技術だというお話も先ほどありましたが、その辺の危険性はどうお考えですか。 大大橋橋 私も先生のおっしゃることに共感する部分もあるのですが、突拍子もないことを申し上げると、皆さんは今マスクをしていますよね。これはある種の大きなビジネスチャンスだと思っている人はいないのだろうかと思うのです。マスクが売れるからではなくて、マスクをすることによって嗅覚をコントロールする技術ができれば、嗅覚をビジネスチャンスにすることが可能だと思うのです。さらにコロナ禍が悪化して、飛沫感染への

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