TOKYO COLLEGE Booklet Series 2
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37 うとしてしまう、という動物として自然な行為なのかもしれません。それを社会的に徹底的に排除しようとするのはおかしいのかもしれません。 今回のコロナ禍によって、社会が大きく変容することは間違いないと思うのですが、変化していく中で必ず揺り戻しがあると思うのです。そうした振れ幅を許容できる社会でないと、「一直線に一足飛びにここへ行け」と言われて示されたゴールを目指すことは、きっと難しいだろうなと感じています。 横横張張 多様性であったり、一見すると重複して似たようなものが存在している冗長性をどれだけ社会的に受け止めるのか、という議論にもつながっていくと思います。こうした多様性や冗長性は、経済合理性のもとでは「無駄」といった、否定的な論調でとらえられてしまうことを、われわれは今後どのように考えたらよいのでしょうか。 加加藤藤 いろいろな側面があると思います。小熊先生がおっしゃったように、マスクをしないで出ていく人に対して、多くの人は恐らくものすごく冷たい目を向けると思います。これは仕組みとしての排除というよりは、心のゆとりのなさがもたらす排除のような気もしています。やはりゆとりを持ってもらうことはとても大事なことで、ゆとりがあるからこそ多様性も認められるのではないでしょうか。インクルーシブな仕組みも大事だと思いますが、個人個人がいかにインクルーシブで多様性のある振る舞いができるかというのは、精神的なゆとりと関係していそうで、今は非常にゆとりがない時代だという気がしています。豊かさや生活の質(QOL)や幸福度をいかに高めていくかが大切な時代だと感じていて、そのことが心にゆとりをもたらし、多様性を認めてくれるようになると期待したいとは思いますが、どうすればそれを実現できるのかというのはなかなか難しいのかもしれません。

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