TOKYO COLLEGE Booklet Series 3
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33 ぜこういう決定をしたのかということが曖昧になると同時に、その責任を誰が取るのかということがしばしば分かりにくくなっています。 応答性というのは、このように大きな負担を国民に求める中で噴出した、さまざまな不満や不安、苦しみの声に対して統治はどう応えていくのか、どう受け止めていくのかということです。社会において実に多様な条件の人がいて、それぞれに困ったり苦労したりしていますが、社会における多様性や個別性をいかに可視化していくかということも、極めて重要な「良き統治」の条件であろうと考えます。その点では、今回のコロナ危機を通じて民主主義の価値が大いに問い直されたと思っていて、コロナ禍の時期だからこそ民主主義がますます重要になってきていると考えます。そして、民主主義がどういう形でバージョンアップするかといえば、まさにロザンバロンの言う「良き統治」(理解可能性・統治責任・応答性)を高めることで政府の信頼を高める以外にあり得ないと考えています。今回のコロナ危機を通じて、逆に民主主義を立て直し、再強化していくきっかけになればと考えています。

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