TOKYO COLLEGE Booklet Series 4
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9 星星 新型コロナウイルス感染症は、皆さんご存じのように、中国・武漢で昨年暮れから爆発的に広まり、今年2月後半にはヨーロッパ、3月にはアメリカでパンデミックになりました。日本もかなり早い時期に感染者が発見され、急速には広まらなかったのですが、4月には非常事態宣言が出され、最近になってようやく解除されました。徐々に日常を取り戻そうとしているようにも見えますが、特に東京などではいまだに感染者が毎日発見されている状態です。本当に収まったのか、それとも第2波が来るのかと皆さんも不安だと思います。 新型コロナウイルス感染症が各国の経済に与えた影響は甚大なものがあります。感染症を恐れて人々が接触を回避するために経済活動が低下するのは当然のことですが、それだけでなく感染症拡大を防ぐために、世界中のいろいろな都市でロックダウンが行われました。日本では厳しくは行われませんでしたが、ロックダウンによっても経済活動が停滞してしまったわけです。 今回のコロナ危機が経済にどのような影響を与えているのか、例えば世界金融危機とどこが違っているのか、コロナ危機によって明らかになった経済の問題はどのようなものなのか、経済政策の形成のために明らかにされなければならないことは何なのかということは、経済学者だけでなく皆さんの多くも疑問に思っていることだと思います。今日はこのような問題を専門家の皆さんと一緒に議論していきたいと思います。 最初に、登壇者の皆さんにコロナ危機収束後の経済についてどこに注目しているか、コメントしていただければと思います。 渡渡辺辺 私からは、ニューノーマルについてお話ししたいと思います。ニューノーマルとは、一言で言うとコロナ危機後の新たな社会規範、経済規範のことを指します。もちろん全てを明らかにすることはできないので、経

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