TOKYO COLLEGE Booklet Series 4
39/52

37 宮宮川川 渡辺先生のご質問と被るところが大きいのですが、私は経済学的な視点と疫学的な視点からトレードオフの問題を整理しています。しかし、どのようにこうしたトレードオフを整理して最適なポイントを探せばよいのかというのは、割と微妙な問題でもあると思います。岩本先生のお話を踏まえると、経済的な価値の部分では評価の視点が分かりやすく、われわれにもなじみのある手法を用いることができると思うのですが、第2波以降の議論で今後さらに経済的視点を盛り込んだ政策の強度の設定が必要になったときに、トレードオフをどういう目線で設定し、経済学者がそこにどう関与していくべきかというのは悩ましいと常々思っています。私は経済的なインパクトを継続するところに集中しながら仕事をしていますが、マクロ全体を見るとトレードオフの設定が重要だと思います。その点についてどういう視点の設定が理想的なのか、伺いたいと思います。 星星 今の宮川さんの質問は非常にいいと思うのですが、今後どうするかということに関わってくるので、その点をこれからみんなでディスカッションしたいと思います。皆さんがそれぞれ注目されている分野で、コロナ危機によって明らかになったものを踏まえて、コロナと共に生きる時代の政策課題として必要になると思われること、例えば岩本さんであればトレードオフをどう考えるかということについてお話しいただけますか。 岩岩本本 引き続き健康と経済のトレードオフを合理的に考量して、考えられる限りベストな道を探していくのが今後の対応だと思います。そのための経済学のフレームワークはできていて、使う道具は費用便益分析となり、対策を打つ費用と便益をできる限り定量的に評価し、効果的な手段を見つけていくことになります。どういったものの費用対効果が高いかを考えた場合、これまで一律の制限が割と使われてきたと思いますが、大して便益のないところまで経済活動を制限してしまう可能性があります。ですから、

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る