39 のないものが選ばれ、定着しないどころか、悪いことにつながる可能性もあると考えています。 今日の話のバックボーンとしては、一つは制度に縛られていると認識した上で選択肢を選ぶこと、もう一つはトレードオフをできるだけ深刻にしないために効果の高い対策に集中するような選択的対策を取ることが大事だということが、これまでの感染症対策の経験から得られた教訓ではないかと思っています。 川川田田 労働に関して言うと、トレードオフを考える上でも、足元の状況をしっかり確認できるようなデータ環境を整備していくことが重要だと思います。政策に間に合わせるためには、これまでのように1カ月遅れで政府統計を、しかも産業レベルで集計されたものを使うだけでは限界があります。例えば消費の場合、渡辺先生のデータなどいろいろなものが可能性としてありますし、海外に目を向けると、労働分野においても足元を確認できるようなデータの整備がどんどん進んでいます。 もう一つ重要な点は、データソースの多様化だと思います。これまでのような研究者が取るデータや政府統計だけでなく、最近は民間企業が持っているデータについても、研究者が活用し分析されています。例えば民間の人材紹介会社やクラウドジョブのデータを積極的に活用して、足元の状況をタイムリーに観察することが世界的には行われていますが、日本ではなかなか進んでいます。この点が実践的な視点から非常に重要だと考えています。 より大きな視点では、企業のCSR(社会的責任)を果たす方法として、彼らが持っているデータを、プライバシーに最大限配慮しつつ研究者に提供していく形が社会全体に広まっていくと、喫緊性の高い危機に対する政
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