TOKYO COLLEGE Booklet Series 5
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37 いうと、元の経済再生に戻るためにかえって大きなグローバリゼーションをもたらす経済の仕組みをつくろうとしてしまう。そうではなくて、定常型経済も視野に入れた新たな経済を模索すること、そこに人びとの苦境からの脱出口がつながらないといけません。 人間開発指数(保健、教育、所得)は、2020年に大幅な下落が予測されています。その中で、社会共通・共有基盤においてどうしても保っておかなければならない部分を、どのように社会で共有するか、私たちが責任をどう分け合うかということも考えながら、生活と労働と環境を結びつけて、再建していかなければならないのです。 気候変動適応型の社会への移行やサステナビリティ・トランジションが進められる中、旧産業で働いている労働者、例えば石炭税や石油税をかけられて困っている労働者であったり、日々の生活の中で稼がないといけないのにその先は考えられる状況になかったりする労働者にとっては、気候と環境は恵まれたエリートのものになってしまいます。このような分断の強化を何とか乗り越えなければいけないと思います。 コロナ危機が分断をさらに加速・拡大させ、固定化させてしまうのではなくて、そういった脆弱性をなくして、新たな環境政策を考えていく機会としていくことを、私たちは恐らく1~2年の間に早急に考えなければならないと思います。 3. SDGsウウィィズズココロロナナのの現現在在にに必必要要ななこことと 経済を回すといっても、経済には幾つもあります。オルタナティブな経済では労働を共有する手法がたくさん開発されていて、特に若い人たちの間からは、市場経済ではない形の貨幣外にある経済を回すことによって、

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