6 ははじじめめにに コロナ危機は社会のあり方や人間の生き方に様々な影響を与えつつあります。連続シンポジウム「コロナ危機を超えて」の趣旨は、人類がコロナ危機を経験したことにより、何を学び、何を変えなくてはならないかを考えることを通じて、次の世代の社会システムや人間の生き方について様々な視点からの示唆を導き出すことにあります。 東京大学は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGs: Sustainable Development Goals)を活用しつつ、地球と人類社会の未来に貢献することを大学の理念として掲げてきました。SDGsは国際的に共有すべき課題を整理し、その目指すべき方向を2030年までに達成すべき17のゴールとしてまとめたものです。ポストコロナ社会のあり方を考える上で、これまで私たちがどのような目標を設定し、何を達成すべきと考えて未来図を描いてきたかをSDGsを通してあらためて考えてみることは重要です。東京大学がSDGsを行動のための重要なよりどころとしている以上、コロナ危機により、私たちの長期的な行動がどのように影響を受けるのかをしっかりと整理しておく必要があります。 SDGsのシンポジウムを開催した6月下旬と比較して、この序文の原稿を書いている9月下旬は、コロナの感染に関する状況が大きく変わりつつあります。世界全体を見ると感染はますます拡大しつつあるものの、ポストコロナの生活のあり方を示唆する知見は格段に増え、病気への対処法も少しずつわかってきました。このような時期だからこそ、直近のコロナ対策だけではなく、もう一歩先の将来に目を向けた長期的な議論をしなくてはなりません。このシンポジウムでコロナ危機とSDGsを対比して論じ
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