TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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25 1..Yahoo!・・厚厚労労省省のの情情報報提提供供協協定定 私自身は憲法の研究者ですが、データの流通・利活用・保護の関係について研究をしていました。新型コロナウイルス感染症の拡大に関連して今回2つの実務的な問題に関わったので、その観点からデータガバナンスについてお話しします。 私が関わった問題の1つは、Yahoo!と厚生労働省の間で締結された情報提供協定です。私は、Yahoo!のプライバシーに関するアドバイザリーボードの座長として、この問題をいわば障子1枚挟んだ形で見る立場にありました。その際、厚労省からは「Yahoo!が非常に多くのデータを持っているから、それを統計データとして提供いただきたい。それをクラスター対策などに役立てたい」という話があったようです。そのときに、「統計データなら当然提供できるものであり、個人情報保護法上、大丈夫なのだから出してくれ」という感覚が一部の関係者にあったのではないかと思います。 既存のデータを違う目的で使う場合にまず、それがどのような出自、性質、内容のデータなのかということを考える必要があろうかと思います。例えばNTTドコモのモバイル空間統計は基地局情報を使っており、場所と人をひもづけているのですが、基本的には粗いデータです。これに対してGPSの位置情報はかなり細かく、場所と人をつなげます。これをコンタクトトレーシングに使う場合は「人・場所・人」を動的に追い掛けていくことになりますが、これはドコモやKDDIなどのキャリアは元々持っていないものであり、キャリアから提供を受けようと思うと、そもそもキャリアに取得してもらうことが必要になります。 それから、Yahoo!のデータは、GPS位置情報とテキストデータに関連するもの、検索結果であり、場所と人の頭の中をひもづけるものです。こ

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