TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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38 医療者もその場に足を運んで、両者が対面でないと医療はできないと信じられて、さまざまな制度が作り上げられてきました。医療情報システムもそれを前提に作られていた面があったと思います。 ところが実際は、急ぎで対面診療をしなければならない場面は多くあるので、それがなくなるわけではないのですが、一方で今回の診療はリモートでもいいという場合もあります。今まではそれをリモートで行っていなかったのですが、リモートでできるようになりました。そのうえ、やってみたら意外といけるという場面が多いことに、医療者自身も患者も気付かされたのです。このことは今後の診療スタイルに非常に大きな影響を与えると思っています。 それはいい面で、例えば高齢の患者が外来に来たときに、すぐに同席はできないけど10分だけならリモートで入れる家族がいるとか、遠隔地にいる身内が診療に立ち会いたいといった場合に非常に対応しやすいですし、逆に診療側も、診察室にいない他の専門家とチームを組んで、同時に参加するような形の診療ができます。これは非常に大きなスタイルの変化であり、それに伴って必要な情報システムが大きく変わりますし、どういう診療情報を記録していくかという視点でも新しいスタイルが生まれると思っています。 また、例えば検体採取だけなら外来に来なくてもできる機関があればそこで検体採取をしたり、問診のように言葉のやりとりだけで診療するようなスタイルであれば医療機関に来なくていいようなスタイルも広がっていくでしょう。そういう意味で、まさに今回をきっかけに医療現場はSociety 5.0に突入していくだろうと思います。そのような中で情報の扱い方は、また新たなテーマになるのではないでしょうか。

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