TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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40 がある状況から始めていたのが、その研究を行う中でデータを取られることによってどのようなメリットがあるかということを、データを提供する側に最初に説明しなければならなくなるような研究スタイルに変わると思います。ですから、サービスとしての研究が自然科学、工学でも主流になるのではないかと思います。われわれ研究者は、真理を求めればいいというだけの話ではなくて、データを提供する人に対してあらかじめ、この目的でこういうことがあり得るということを言わなければならなくなるのではないでしょうか。 渡渡部部 ニューノーマルのデータシミュレーションの研究は、エンジニアリングだけではないということですね。社会科学あるいは人文社会科学的な要素が融合した姿が、この分野の学術研究のニューノーマルということでしょう。 宍戸先生、ニューノーマルには、いいニューノーマルと悪いニューノーマルという観点がありますが、いかがでしょうか。 宍宍戸戸 ニューノーマルにおいてはリアルもサイバーもともに変わってうまく融合できるように、しかも人間の幸福であるとか、人権であるとか、社会的な公正が実現できるように、両方を融合することを前提にそれぞれの制度や技術を組み直していくことが、恐らく必要になるのだろうと思います。 というのも、長期トレンドとして日本社会には人口減少や少子高齢化といった課題があります。働き手が少なくなっていく中で、まさに大江先生のお話に関わりますけれども、医療業務従事者の方々が現場で大変な思いをされ、働き手が少なくなったときの予行演習のようなことが、今回のコロナ危機によって起きたのだろうと思うのです。もっと人々が幸せに働くことができ、本来目指しているプロフェッショナルとしての仕事を達成で

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