TOKYO COLLEGE Booklet Series 7
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8 ムの締めくくりとなるコメントを頂くために、五神総長にも出席をお願いしました。 総括シンポジウムが開催されたのは、2020年7月8日でした。それから4ヵ月近くが経った10月末にこの原稿を草していますが、コロナ危機は今なお続いています。世界における感染者数は5000万人に迫り、死者数は100万人を超えました。国内でも感染者、死者数は10万人、2000人に達しようとしています。このパンデミックは、これから数日後に投票が行われるアメリカ大統領選挙の大きな争点となり、フランスやドイツでは、春に続いて再び厳しい外出禁止が要請される事態となっています。日本の状況は欧米ほどに深刻ではないように見えますが、決して油断はできません。 夏前に比べると、医学、疫学的な知見は徐々に増加し、私たちはコロナウイルスとともに生きる方法をある程度は身に着けつつあります。しかし、一連のシンポジウムや総括シンポジウムで指摘された重要なポイント、例えば、データを収集する際の問題点やデータの管理と活用、経済活動と健康のトレードオフ、民主主義と自由、パブリックなどの概念の再考、は、依然として、考察を深めるべきテーマとして私たちの眼前に存在し続けています。 総括シンポジウムでは、オンラインを活用した生活のメリットとデメリットについても論じられました。しかし、この春に、なし崩し的にオンライン授業を導入することになった大学の状況は、夏前とあまり変わっていません。そろそろ、オンライン授業の功罪を見極め、これからの時代のあるべき大学の姿について議論を深める時でしょう。シンポジウムの最後に五神総長が論じたサイバーとフィジカルが一体となった新しい空間をどのように整備・活用するのか、また、地球環境をクローバルコモンズととらえそれをどのように管理し、維持・発展させてゆくのかといった大きな

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