TOKYO COLLEGE Booklet Series 7
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12 あるいは換気をすることが大事である一方、一人で歩いているときにマスクは必要か、同調圧力が強いのではないか、差別や偏見の問題も起きているといったご指摘もありました。 今後、いったん収まった新型コロナウイルスがまたアウトブレークを繰り返すと思われます。そういった状況で再緊急事態宣言が出るのではないかといわれる中、クラスターを早期発見・早期対応し、適切な医療体制を提供すること、そして何よりもわれわれがめりはりを持って行動変容をして、感染症の伝播を減らすことが重要だというご指摘を頂きました。 西田先生からは、日本の治療は欧米に比べて非常に成績が良いというご報告を頂きました。体外式膜型人工肺(ECMO)が付いているような重症患者でも日本の救命率は非常に高いのですが、決して余裕があるわけではなく、ぎりぎりの状態です。ドイツなどは元々、医療的に非常に余裕のある状態で運営しているので、イタリアやフランスからの重症患者を受け入れるなど、世界の模範となるような医療を行っています。しかし日本は、国内のみでぎりぎりの状態です。特に感染防御の点から、1人の感染症患者が入るということは医療現場にものすごく負担がかかると同時に、通常の診療を縮小しなければなりません。そういったことが医療機関の経営自体を圧迫することが大きな問題になっているというご指摘を頂きました。 さらに、新規の感染者が減っても重症患者はすぐに減るわけではないので、重症患者が残った状態で医療機関を圧迫しているところに次の波が来ると耐え切れません。そこで、適切な医療供給体制を速やかに取るために、きちんと医療体制を整えておいて、経済活動の許容範囲を拡大していくことが重要であることをご講義いただきました。

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