7 ははじじめめにに 未曽有のコロナ危機に対して私たちが適切な対応を取るためには、コロナウイルスとそれが引き起こす様々な事象について正しく深く知らなければなりません。しかし、それはたやすいことではありません。この複合的な危機の一つの側面についての専門家はいても、様々な問題がからみあって生じた今回の危機全体に通じた人はいないからです。コロナ危機に対応するためには、分野横断的で総合的な知が必要なのです。このため、東京カレッジでは、緊急事態宣言が明けて間もない2020年6月から7月にかけて、「コロナ危機を越えて」と題する一連のシンポジウムを企画・開催しました。この連続シンポジウムでは、異なる分野の専門家が、あらかじめ設定された6つのテーマにそれぞれの角度からアプローチして議論を積み重ねるという方法をとりました。6回のシンポジウムのモデレーターは、東京大学の様々な部局の先生方にお願いしました。総合大学としての東京大学の強みを活かした取り組みだったと言えるでしょう。各回のシンポジウムにおける報告と意見交換によって、それぞれのテーマとそれに関連する事象についての理解は、相当程度に深まったと思います。 これを承けて、一連のシンポジウムの最後に総括の場を設け、過去6回のシンポジウムのモデレーターに集まって頂きました。各回の報告や議論を共有した上で、さらに意見交換を行って論点を深めるためです。現在私たちが置かれた状況を確認し、今後取るべき方策や進むべき道について考えるためにも、一連のシンポジウムでの議論を総括することが必要だと考えました。この総括シンポジウムには、国際経験豊かな東京カレッジ所属の若手研究者2名に新たに参加を求め、モデレーターの研究者たちにフレッシュな意見や質問をぶつけてもらうことにしました。また、シンポジウ
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