TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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13 られるべき」との見解を示しています。それを受けて内閣府の調査部会も、「現時点においては、地震発生時期や場所・規模を確度高く予測する、科学的に確定した方法はなく、大震法に基づく警戒宣言後に実施される現行の地震防災応急対策が前提としている確度の高い地震予測はできないのが実情である」との見解を2017年に発表しました。 そして気象庁は2017年、東海地震の判定会を取りやめ、南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会に引き継がれることになりました。ですから、警戒宣言が出ることはなくなりました。これは、今回の新型コロナによる緊急事態宣言の社会経済的影響を見ると、やはり正しいことだったと考えています。 1995年には阪神淡路大震災が発生し、約6500名の死者が出ました。この後、地震防災対策特別措置法が制定され、地震調査研究推進本部が設置されました。当時、専門家の間では大阪平野や神戸周辺には活断層がたくさんあり、長期的に見て地震が起こることは当然だと思われていたのですが、多くの一般の人はまさか神戸で地震が起こるとは思っていませんでした。そこでまず、地震のことを知ってもらおうということで、推進本部は『日本の地震活動』という本を出して、都道府県別にどのような地震の恐れがあるかという予測を出したり、今後30年間に震度6弱以上の地震が発生する確率を日本地図に落とし込んだ「地震動予測地図」を作って公表しました。 2. 東東日日本本大大震震災災でで浮浮上上ししたた三三つつのの課課題題 2011年には東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)が発生しました。マグニチュード9が日本で初めて記録された地震でした。死者・行方不明

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