TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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22 3. 科科学学的的助助言言のの在在りり方方 続いて、科学的助言の在り方について考えてみたいと思います。誰が助言するか、誰に助言するか、誰が報道するか、そして誰が受け取るかを検討するときに、二つの軸があります。 一つは、科学的助言をするときに専門家が判断まで行うのか、判断材料を提供するのみなのかという線引きの問題があります。これに関しては、専門家が判断まで行うべきという人と、専門家は判断材料を提供するだけで実質的判断は社会(あるいは政治)がおこなった方がいいという人との間で長い間議論になっています。 もう一つは、ユニークボイス(シングルボイス)かマルチボイスかという問題です。特に東日本大震災直後、専門家からの情報発信を一意に定めるべきと主張する人と、専門家でも意見やデータ、解釈に幅があるからきちんと幅を示した方がいいという人がいて、学術会議の中でもいろいろな意見が出ました。学術会議の会長は3年ごとに代わるのですが、例えば歴代会長の大西隆氏や吉川弘之氏はユニークボイスを支持し、「学者の意見は違って当然だけれども、外に出ていくときは一つでなければならない」という意見を述べています。一方、広渡清吾氏らは「意見が分かれることを示すことがユニークボイスであり、統制された情報がユニークボイスというわけではない」と述べています。 それから、科学的助言をするときに専門家はどうあるべきかについて、ロジャー・ピルケ氏は4種類にまとめています。一つ目が純粋科学者(pure scientist)で、何も助言せずに科学研究だけをする人です。二つ目が科学知識の提供者(science arbiter)で、判断材料だけを提供する人です。三つ目が誠実なあっせん者(honest broker)で、判断の選択肢を提供するとともに判断をする上での強いコメントをします。例えば、緊急事態宣言

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