TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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40 るという助言を科学者にはしています。リスク評価は科学者、リスク管理は政治家という基本が、今回うまくいっていない印象を私も持っています。 大大竹竹 今の話に関連して、質の問題については科学自体の質も非常に重要で、高い質を持った研究をされている方が、なおかつ人々が分かるような、別の意味で質の高い発信をすることは非常に重要だと思います。もう一つ非常に重要なことは、例えば今回のコロナの問題、それから10年前は大震災の問題、あのときは原発事故の方が大きかったとは思いますが、そうしたリスクが起きたときには皆さん専門家のところに駆けてくるのですが、実はリスクコミュニケーションがきちんと成り立つ本質は、日頃からどうやってコミュニケーションをしておくか、そこで地盤がつくられるかどうかにあると思います。医学の方々は今そうしたところを捉えていますが、一方でそういうときの発信をメディアがなかなかしてくれない面があるのではないかと思っています。その点に関して、どういう苦労をしていて、どこをもっと改善すべきとお考えでしょうか。 佐佐竹竹 地震研でも震災後、マスコミがどっと押し寄せてきたことを問題だと感じ、平時こそのコミュニケーションが重要だということでマスコミとの懇談会を定期的に開いています。これは地震学会でも開いています。常日頃から顔を突き合わせて、分からないことがあったら聞くわけです。話題提供をしたり、取材とは一切関係なく雑談的なことをしたりしています。それによって記者のリテラシーを上げるとともに、記者がどういう意見を持っているのかが分かります。 大大竹竹 医学の方ではいかがでしょうか。医学はいろいろと情報発信をすることは多いとは思いますが、本当に言いたいことではなくて、特異的なところをピックアップされてしまうこともあるのではないかと思います。南学先生、いかがでしょうか。

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