TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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41 南南学学 おっしゃるとおり、こちらが言いたいことと向こうが伝えたいことがどうしても異なる場合があり、できる限りそこは注意してわれわれも発言するのですが、最終的に情報発信するのはマスコミ側になります。良心的な媒体であれば最終的に発出する前にこちらがチェックできるので、適切な情報が伝わると思うのですが、必ずしもそうでない媒体があります。やはりわれわれは積極的に情報発信しつつ、それが曲がって伝わらないように細心の注意を払わなければいけないと思っています。 大大竹竹 最近は報道に関してファクトチェックが一般的に行われていますが、そういうことも積極的に行っていった方がいいと思います。科学社会論の立場では専門家側の努力をどうご覧になりますか。 横横山山 地震研の取り組みは本当に素晴らしいと思いますし、リスクが常に近くにあると意識している研究者は非常に高い意識を持って昨今活動をしているように思います。巨大科学の領域でも政治イシューになってくる分野では、そういうことに気を付けて発信する方も増えていると思いますし、だんだんと良くなっていると期待したいところではありますが、原子力のように非常に政治的なイシューになってくると、それだけでは済まず、党派性も強くなってきます。米国における党派性は、気候変動にしろ、進化論にしろ、どの政党を支持するかによって対応が真っ二つに割れている状況です。まだそこまでいっていない日本は世界的に貢献できるのではないかという期待的な予測もある中で、今回のCOVID-19に関しても、多少なりとも党派性が日本でも感じられる雰囲気になってきていて、少し心配しながら見ている状況です。 藤藤垣垣 先ほど佐竹先生がおっしゃった平時からのコミュニケーションというのは、本当に危機情報を考える上で大事だと思っています。危機情報はある意味不法侵入のようなところがあり、日常の業務で忙しい人に大変だということを分かってもらうのは非常に大変なことです。だからこそ日

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