TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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42 常の信頼がなければ、大変なときの発信を信じてもらえなくなります。日常からの信頼構築が大事になるわけです。その信頼構築は専門家だけでうまくいくものでもなく、先ほど来申し上げている一般市民のリテラシーの問題や政治家との関係構築、マスコミとの関係構築など、専門家、マスコミ、一般市民、政治家の少なくとも4アクターで築き上げるものですので、4アクターの間で平時からの信頼をつくり上げることによってうまくいくこともあるのではないかと思います。 特に南学先生の発表で、COVID-19の場合、分かっていることとそうでないことが時々刻々と変化していくという話がありましたが、命に関わる治療法に関しては、ふだん専門家集団が行っている査読を通さないで、迅速に公開したり共有したりすることが実際に起こっているわけです。そういうオープンサイエンスの最先端がCOVID-19で起こってしまっています。それはうまくいくこともありますが、失敗することもあるので、そのときに先ほどの4アクターでつくる信頼が試されるのではないかと思います。 似たようなシンポジウムを9月にも開いたことがあるのですが、そのときに「気象庁が信頼されているのは気象庁が絶えず批判にさらされているからだ」と言った人がいて、なるほどと思ったのですが、要するに信頼構築のためには批判し合わなければならないわけです。日々批判し合っているからこそ信頼は生まれるはずで、そういう形での日常からの信頼構築が大事になってくると思います。 大大竹竹 今回のシンポジウムの準備で、カレッジの事務方と研究員がいろいろと手伝ってくれました。その中で、私どもの特任研究員であるフラビア・バルダリさんがイタリアから春ごろに来たのですが、元々は哲学が専攻で、丸山眞男などの著作もちゃんと日本語でお読みになります。このシンポジ

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