サブサハラアフリカの旱魃に対する家庭のレジリエンス
経済成長、農村開発、農業の近代化、エネルギー安全保障と結びついたきわめて多様な社会経済的目的を達成するために、サブサハラアフリカ全域で工芸作物の生産が進められています(Jarzebski et al. 2020b)。工芸作物の生産と食料安全保障は政策上広範な関心を集めていますが、両者が相互にどう関係するのか包括的に理解されてはいません。工芸作物、生産様式、生産地域、内在する影響メカニズムがたいへん多様だからです。私は体系的な文献調査によって、アフリカ大陸において工芸作物の生産が食料安全保障に及ぼす影響に、異なるメカニズムがどう関与しているのかを明らかにしました(Jarzebski et al. 2020a)。
現在、データ分析に基づいて、スワジランドとマラウイの工芸作物生産地域における食料安全保障のレジリエンスへの長期的影響の解明に取り組んでいます。旱魃が深刻化するなかで食料安全保障の状況を把握するために、2014年から2017年にかけて、旱魃がなかった時期、旱魃期、深刻な旱魃期のデータを収集しました。こうした分析により、工芸作物生産への関与や工芸作物生産地域での生活は、家庭の食料安全保障にプラスまたはマイナスの影響を与えているのかどうかという問いに答えることができます。
本研究はレジリエンス概念(図1)を用い、レジリエンスを高める緩衝能力、学習能力、自己組織化といった観点から考察します。
こうした分析に基づいて、サブサハラアフリカの工芸作物生産が食料安全保障により良い影響をもたらすために重視すべき優先政策や行動分野を明らかにしたいと考えています。