オンラインフリーランスのジェンダー平等に向けたツールの設計 - 東京カレッジ

オンラインフリーランスのジェンダー平等に向けたツールの設計

Eureka FOONG

就業形態における柔軟性の欠如や報酬交渉プロセスの不透明性ゆえに、世界中の女性たちにとって、平等な報酬を得ることが不当なまでに難題となっています(Bowles et al. 2015)。Upwork.comやFreelancer.comなどのオンライン労働市場は、こうしたジェンダーバイアスをいくらか軽減する可能性があります。これらのウェブサイトでは、数百万人の人々が世界中どこからでも自分の専門分野やプロフィールを書き込み、クライアントとつながり、ウェブサイトの作成や時間給の管理業務まで短期のフリーランス業に応募できます。こうした柔軟な労働の機会、報酬の透明性、オンラインでの交渉方法は、報酬と交渉におけるジェンダーギャップの縮小に資するかもしれません。

とはいえ、私の最近の研究によると、オンライン上の女性たちは、全般に男性と同様の報酬決定戦略を頼りにしているものの(Foong et al. 2021)、女性たちが要求する報酬は依然として男性より低い傾向があります(Foong et al. 2018)。

オンライン労働市場における報酬決定・交渉プロセスに対する女性の考え方をよりよく理解するために、カーネギー・メロン大学、オールバニー大学、ノースウェスタン大学の共同研究者や研究助手とともにデザインベース研究を進めています。Reddit.comのフリーランサー・コミュニティから得たデータ、フリーランサー99人に対する調査データ、5大陸で女性フリーランサーと行なった19回の参加型デザインワークショップで得た知見を比較検討しています。研究の目的は、オンラインでの報酬決定と交渉の不透明性を理解し、交渉と報酬決定に際して男女が認識する課題の違いを知ることにあります。

これまでの予備的分析結果によれば、オンライン労働市場は、報酬と交渉のジェンダーギャップを生み出す諸要素が絡む「最悪の場」になっています。そうした要素は、(1)交渉と仕事のプロセスに関する不透明性を持続させ、(2)フリーランサーの力を弱め、クライアントとの交渉やコミュニケーションに際して女性たちが負うリスクを高め、(3)市場での好感度を維持するためにフリーランサーにクライアントとのコミュニケーションと協力の重要性を押しつけているのです。プロジェクトでは今後、フリーランサーと協力して、オンライン交渉と報酬決定の課題の克服に向けて、女性たちを支援する技術主導の新たなツールの設計に取り組みます。

Past Work

Eureka Foong and Elizabeth M. Gerber. 2021. Understanding Gender Differences in Pricing Strategies in Online Labor Marketplaces. Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ‘21) -Honorable Mention Award https://doi.org/10.1145/3411764.3445636

Eureka Foong, Nicholas Vincent, Brent Hecht, and Elizabeth M. Gerber. 2018. Women (Still) Ask For Less: Gender Differences in Hourly Rate in an Online Labor Marketplace. Proc. ACM Hum.-Comput. Interact. 2, CSCW, Article 53 (November 2018), 21 pages. DOI: https://doi.org/10.1145/3274322

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