北海道における、国境を越えた開拓者植民地主義(1869~1905年) - 東京カレッジ

北海道における、国境を越えた開拓者植民地主義(1869~1905年)

Michael ROELLINGHOFF

現在、博士論文を、論文「北海道における、国境を越えた開拓者植民地主義(1869~1905年)」(仮題)として発表するために改訂作業を進めています。
本プロジェクトは、批判的な先住民研究の知見を踏まえた、北海道に関する初めての歴史研究であり、植民地北海道の法的・推論的基盤、北海道開拓使の設置、その結果生じた先住民アイヌの人々の土地剥奪、強制移住、排除について考察します。
日本語、英語、ドイツ語、フランス語の政治報告書、外交上の声明、学術研究、日記、教科書、新聞・雑誌等マスメディア資料など、多言語の記録資料を活用し、開拓者植民地の言説と政策について、欧米の植民地帝国から日本に至るまでの経緯をたどります。
その中で、アイヌの人々の土地の植民地化において日本帝国とロシア帝国が競合すると同時に連携してもいたこと、北海道の土地利用・植民地政策の策定におけるアメリカ人顧問の影響、生物学的人種理論においてアイヌの人々への関心が国際的に高まったことなどを浮き彫りにします。
それらのすべてにおいて私は、北海道は日本帝国の端の単なる境界地帯ではなく、日本帝国拡大の中軸であって、後に台湾や満州などの植民地に適用された政策の「実験場」になっていたと論じます。
さらに、当初から明白な欧米モデルに基づいて植民地化された北海道が、日本本土自体を西洋化するモデルともなりました。したがって本研究は、日本植民地時代は1895年の台湾併合に始まり、1945年のアジア太平戦争敗戦で終わったとする従来の理解に反論する研究が増えていることを踏まえて進めます。

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