新任メンバー・インタビュー:ポストドクトラル・フェローDada DOCOT
このシリーズでは東京カレッジの新任メンバーを紹介します。今回は8月よりポストドクトラル・フェローに着任したDada DOCOTさんにお話を伺いました。
東京カレッジへようこそ!ご自身のバックグラウンドと、研究テーマについて教えてください。
東京に来れたことをとても嬉しく思っています。私が東京に来る準備をしてくれた東京カレッジのスタッフの方々の親切で暖かい歓迎に感謝しています。私は文化・ビジュアル人類学者で、フィリピンとフィリピン・ディアスポラを中心に研究しています。現在、パデュー大学で人類学の助教をしていますが、現在のプロジェクトに関する論文や、一冊目の本を書くために研究休暇を取っています。東京カレッジのサポートとホスピタリティのおかげで、私は執筆活動に集中する時間を得ることができました。また、これまで私はいくつかの地域で働き、研究を行ってきました。ニューヨーク大学上海校で、Global Perspectives on Society ティーチング・フェローを務め、その前はカナダのブリティッシュコロンビア大学で人類学の博士号を取得しました。また、東京大学駒場キャンパスでヒューマンセキュリティプログラムの修士課程を修了しました。日本に戻ってきて、母校の仲間と再会できとても嬉しいです。
現在の研究プロジェクトについて教えてください。
現在、主に2つのプロジェクトを行っています。1つ目は、私の故郷であるフィリピンにおけるグローバルな移民の影響を論じた本の執筆です。この本は、フィリピン人が世界で最も移動の多い国民の一人であることから、儀式、家族関係、退職などの日常生活が移民によってどのように変化したかをエスノグラフィーとしてまとめたものです。フィリピンの人口の10%は海外に住んでおり、フィリピン人は文字通り世界中のあらゆる国や地域で様々な職業に就いています。多くの文献は、フィリピン人が移住先の国でどのように働き、生活しているかに焦点を当てていますが、移住によって故郷がどのように変化するかを調べることも同様に重要です。
2つ目のプロジェクトは、COVID-19パンデミックが海外のフィリピン人労働者に与えた影響についてです。私の研究チームは、COVID-19によって避難し、影響を受けた50人以上のフィリピン人移民労働者にインタビューを行いました。フィリピンでは、史上最大の送還が行われています。これは、非常に多くのフィリピン人がパンデミックによって家を失い、海外での仕事が不安定なため、帰国をサポートするクッションがあまりないためです。ニュースで、横浜の船に取り残されたフィリピン人乗組員の話を聞いたことがあります。また、多くのフィリピン人が看護師や介護士として医療業界で働いており、最前線で「COVID-19」にさらされているため、「COVID-19」が海外のフィリピン人コミュニティに与える影響は不均衡なものとなっています。私たちはインタビューのデータ収集を終えたところで、パンデミック時のフィリピン人移民の状況について論文を書く予定ですが、これが一般の人々にもっと広く知られるようになることを願っています。
東京カレッジ滞在中に達成したい目標は何ですか?
東京カレッジにいる間に、最初の本の第一稿を完成させ、フィリピン人移民に関する論文のいくつかの草稿も完成させたいと思っています。2021年8月に東京カレッジに所属して以来、執筆のための専用の時間を得ることができたため、今年の年末に出る査読付きの論文を書いて仕上げることができました。この論文は、COVID-19の期間中にフィリピンで生まれた「コミュニティ・パントリー運動」と呼ばれるもので、相互扶助による資源の再分配を目的としたトランスナショナルな取り組みについてのものです。
一般向けのイベントについては、現在、玉川大学の友人であるトリシア岡田博士と一緒にウェビナーを企画しており、学者、フィリピン人移住者の作品、ジャーナリストを招いて、日本におけるフィリピン人移住者の状況、特にパンデミックの間の最新情報について議論するパネルディスカッションを行う予定です。ご存知のように、フィリピン人の日本への移住は、日本のエンターテイメント産業での雇用の開放と関連して、非常にジェンダー化されたものでした。フィリピン人の日本への移住は、ここ数十年で変化しました。フィリピン人は英語を教えるためにも来ていますし、最近では日本の医療業界で働くためにも来ています。日本にいるフィリピン人について、一般の人々に最新情報を提供する必要があります。このようなプロジェクトや提言に取り組む時間を与えてくれている東京カレッジに感謝しています。