東京カレッジの研究 - 東京カレッジ

東京カレッジの研究

2022.01.05

最近、東京カレッジのウェブサイトに興味深い一連の新情報がアップされたことにお気づきでしょうか。ウェブサイトの上から2段目に、「東京カレッジとは」に始まるいくつかのコーナーへのリンクが設けられています。その一番右端に「研究」という文字があります。ここをクリックすると、東京カレッジで現在行われている研究を紹介するコーナーに飛ぶことができるのです。

そこでは、東京カレッジにおける種々の研究活動が、4つのカテゴリーにまとめられ、詳しく説明されています。研究の概要や成果は、これまではメンバーのコーナーや公開の講演会での報告などによって個々別々に紹介されていました。そのため、よほど注意深く情報を集めそれらを体系的に整理した人でなければ、東京カレッジの研究の全体像はなかなか理解できなかったでしょう。しかし、新しくできたこのコーナーのおかげで、現在進行形の研究までもがほぼ一望のもとに置かれることとなりました。以下で、このコーナーの中身を簡単にご紹介しましょう。

第1のカテゴリーはResearch Themes(研究テーマ)です。東京カレッジは、「デジタル革命と人類の未来」から「生・命(いのち)の未来」に至る5つの重点テーマを定めています。このカテゴリーでは、東京カレッジで行われている多様な研究全体をこの5つのテーマに沿ってまとめ、その内容と成果を紹介しています。各テーマに関連する研究者個人の研究と共同研究の概要、各テーマに関わって記されたブログと開催された講演会やシンポジウムの説明と紹介がこのカテゴリーの主な内容です。東京カレッジの研究の総覧にあたる部分だと言えるでしょう。

第2はIndividual Projects(個人研究)です。ここには東京カレッジに所属する多様な研究者が現在個人として進めている研究の概要や研究成果が、具体的なトピックごとに記されています。翻訳された近世キリスト教文献から次世代コンピューターまで、ここを見れば、東京カレッジでどれだけ多彩な研究が日々活発に展開されているかを一覧できます。といっても、ここで紹介されているトピックが東京カレッジの研究のすべてではありません。実は、私自身の個人研究はまだ掲載されていないのです。モタモタして原稿執筆が遅れているうちにウェブサイトが完成してしまい、先に公開を進めてもらうことにしました。私以外にもまだ研究テーマをアップしていないメンバーが何人かいるようです。新規メンバーも増えていることですから、このコーナーは近々にさらに充実することと思います。

第3はCollaborative Projects(共同研究)というカテゴリーです。ここでいう共同研究とは、異なる学問分野で活動する複数の研究者が一つの共通のテーマに焦点を定め、それぞれの角度からアプローチすることによって、総合的で斬新な結論や問題解決の方法を導き出すことを意味します。この方法を採用すれば、個人で取り組むことが難しいような大きく複雑な研究テーマにも挑戦できるでしょう。しばしば分野横断型と呼ばれるこのタイプの研究は、東京カレッジにおける研究活動の大きな特徴です。5つの重点研究テーマ自体が複雑で分野横断型の性格を持っていますが、このカテゴリーではそれらのテーマと接点を持つ研究や重点テーマを横断するようなさらに大きな研究のトピックも紹介されています。

例えば、「アイデンティティ」というトピックは、デジタル革命以下5つの重点テーマのすべてと何らかの接点を持っています。昨年来私が責任者となってオンラインの研究会での報告と議論を積み重ねており、2022年のうちに実際の論文を集め、共著として成果を出版するつもりです。共同研究に参加するのは、カレッジに所属する研究者だけではありません。学内外で関連する研究者には随時研究会にご参加頂き、議論に加わって頂いています。

現在、このカテゴリーでは6つのテーマが紹介されています。しかし、まだ十分ではありません。学内外、国内外の研究者の協力を得て、今後さらに新たなテーマを発掘し、共同研究の枠組みを強化してゆきたいと思います。例えば、ジェンダーやケアといった社会の構造と仕組みに関わるテーマや食や水など自然科学と人文社会科学の協働が期待できるテーマがまず考えられるでしょう。新しい共同研究については、カレッジの外の方々からのご意見をぜひ参考にしたいと思います。この文章をお読みになった皆様からの積極的な提案をお待ちします(masashi.haneda@tc.u-tokyo.ac.jp)。

第4はDistinguished Lecture Series(卓越研究者講演シリーズ)というカテゴリーです。ここでは、これまでに東京カレッジ主催で開催された卓越研究者・知識人の講演会が紹介されています。東京カレッジには、東京大学に所属する4人の卓越教授が籍を置いています。この先生方には順次ご研究の一端を一般向けにお話し頂くことにしています。また、名誉カレッジ長のレゲット先生をはじめノーベル賞を受賞された先生方、それぞれの研究分野の達人とも言うべき卓越研究者にも機会があれば講演をお願いしています。研究者の相互派遣協定を結んでいるコレージュ・ド・フランスの研究者による講演についての情報もここで得られます。実際の講演の多くは講演終了後に、東京カレッジのYoutubeチャンネルにアップされています。ぜひ一度ご覧になってみてください。

この魅力的なコーナーを開設することができたのは、赤藤詩織特任助教の献身的な努力のおかげです。彼女は所属する研究者たちやウェブサイトのデザインを担当する専門家と意見交換を重ねて「研究」コーナーの全体的なイメージを作り、実際に研究者たちから情報を集め、この魅力的なコーナーをほとんど独力で完成させました。本当に感謝しています。せっかくできたこのコーナーを不断に更新することによって、東京カレッジの研究の「今」を多くの方々にお伝えして行きます。

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