この10年近く、日本に住む「地球の住民」という立場から、世界の過去がどう描けばよいかを考えている。特に、近代以後の西洋を起源とする概念や価値が、各地の言語や文化にどのように受け入れられ、独自の意味を持つようになったかに関心がある。当面は、これまで国ごとに理解されていた「ナショナル・アイデンティティ」という概念の成立と展開に注目し、グローバルヒストリーの方法を用いて世界各国の状況を接続させ、全体として理解することを試みたい。
1953年 7月生まれ
1976年 京都大学文学部史学科卒業
1978年 京都大学大学院文学研究科東洋史学(西南アジア史学)修了
1983年 パリ第3大学でDoctorat de troisième cycle (Etudes iraniennes)取得
1985年 日本学術振興会特別研究員
1986年 京都橘女子大学文学部助教授
1989年 東京大学東洋文化研究所助教授
1997年 同教授
2004年 同副所長 (2006年3月まで)
2009年 同所長(2012年3月まで)
2012年 東京大学副学長・国際本部長(2015年3月まで)
2016年 東京大学理事・副学長(2019年3月まで)、国際高等研究所長(2021年3月まで)
2019年 東京大学大学執行役・副学長(2021年3月まで)、東京カレッジ長
【単著】
Le Chah et les Qizilbāš: Le système militaire safavide. Berlin: K. Schwarz, 1987.
『モスクが語るイスラム史-建築と政治権力』中央公論社(中公新書)、1994.
『勲爵士シャルダンの生涯―17世紀のヨーロッパとイスラム世界』中央公論新社、1999.
『イスラーム世界の創造』東京大学出版会、2005.
『東インド会社とアジアの海』講談社、2007(同社学術文庫の一冊として再刊、2017).
『冒険商人シャルダン』講談社(学術文庫)、2010.
『新しい世界史へ―地球市民のための構想』岩波書店(岩波新書)、2011.
『増補 モスクが語るイスラム史-建築と政治権力』筑摩書房(ちくま学芸文庫)、2016.
『グローバル化と世界史』東京大学出版会、2018.
【編著】
『イスラム都市研究:歴史と展望』(三浦徹と共編)、東京大学出版会、1991.
Islamic Urban Studies. Historical Review and Perspectives, co-edit. with Toru Miura, London, Kegan Paul International, 1994.
『シャルダン『イスファハーン誌』研究―17世紀イスラム圏都市の肖像』(東洋文化研究所叢刊17)東京大学出版会、1995.
『成熟のイスラーム社会』(永田雄三と共著)中央公論社、1998.
『岩波イスラーム辞典』(大塚和夫他5名と共編)岩波書店、2002.
Asian Port Cities 1600-1800. Local and Foreign Cultural Interactions, NUS Press & Kyoto University Press, 2009.
『海から見た歴史』(東アジア海域に漕ぎ出す1)東京大学出版会、2013.
『輪切りで見える!パノラマ世界史①~⑤』(監修)大月書店、2015-16.
『グローバルヒストリーと東アジア史』(東洋文化研究所叢刊30)東京大学出版会、2016.
『地域史と世界史』ミネルヴァ書房、2016.
『グローバル・ヒストリーの可能性』山川出版社、2017.
【単著、編著の外国語訳】
『“伊斯蘭世界”概念的形成』(劉麗嬌、朱莉麗訳)、上海古籍出版社、2012.
『東インド会社とアジアの海(韓国語)』(李秀烈、具知瑛訳)、Sunin出版、2012.
『アジアの港町1600-1800(韓国語)』(Kim Nayeo, Hyon Caiyeor訳)、Sunin出版、2012.
『新しい世界史へ―地球市民のための構想(韓国語)』(李秀烈訳)、Sunin出版、2014.
『從海洋看歷史』(張雅婷訳)、廣場出版、2017.
『東印度公司與亜洲的海洋』(林詠純訳)、八旗文化/遠足文化事業股份有限公司、2018.
Toward Creation of a New World History, tr. by NODA Makito, Japan Publishing Industry Foundation for Culture, 2018.
『全景世界史』全5巻(張厚泉訳)、復旦大学出版社、2018.
『海から見た歴史(韓国語)』(鄭淳一訳)Minumsa Publishing Group、2018.
Maritime History of East Asia, co-edit. with OKA Mihoko, Kyoto University Press & Trans Pacific Press, March 2019.
『東インド公司与亜洲之海』北京日報出版社、2020.
日本オリエント学会奨励賞(1988年度)
毎日出版文化賞(2002年度):大塚和夫他4名と共編著『岩波イスラーム辞典』(岩波書店)に対して
アジア・太平洋賞特別賞(2006年度):著書『イスラーム世界の創造』(東京大学出版会)に対して
ファーラービー国際賞(イラン・2010年):著書『イスラーム世界の創造』(東京大学出版会)に対して
アジア太平洋出版協会出版賞学術書部門銀賞(2010年):編著書Asian Port Cities 1600-1800, NUS Press & Kyoto University Pressに対して
紫綬褒章(2017年)
フランス教育功労章(Palmes Academiques)オフィシエ級(2021年)